コラム

看護師のシフト作成 完全ガイド——希望集めから公開までの手順とコツ

2026年9月17日 · シフワリ運営 · 約8分で読めます

シフト作成は、病棟の管理業務の中でもとりわけ重い仕事です。毎月必ずやってきて、半日から数日を奪い、それでいて「うまく作れて当たり前」としか評価されません。この記事は、シフト作成の全工程——希望を集める、ルールを言葉にする、叩き台を作る、検算する、公平性を確かめる、配る——を順番に整理した親ガイドです。各工程の詳しいやり方は個別の記事に譲り、ここでは全体の地図を描きます。「毎月なんとなく苦しい」を「どの工程が苦しいのか」に分解できれば、対策は立てられます。

目次(11)
  1. 看護師のシフト作成は、なぜこんなに重労働なのか
  2. 全体の流れ——6つのステップに分ける
  3. STEP1 希望を集める——転記をなくすだけで数時間戻ってくる
  4. STEP2 職場のルールを言葉にする——頭の中を条件に変える
  5. STEP3 白紙から埋めない——「叩き台」から始める
  6. STEP4 検算する——目視チェックには限界がある
  7. STEP5 公平性を確かめてから配る——感覚に感覚で返さない
  8. STEP6 配る——「写真に撮って手入力」までが今の運用
  9. どの工程にも書けない「言いにくい調整」の話
  10. ツールを選ぶときの、現場目線のチェックポイント
  11. まとめ——シフト作成は「作る」より「確かめる」

看護師のシフト作成は、なぜこんなに重労働なのか

一般的なアルバイトのシフトと違い、病棟の勤務表は守るべき条件の数が桁違いです。日勤・夜勤・明けの人数、夜勤明けに日勤を入れない、連続勤務の上限、夜勤回数の偏り、リーダーができる人の配置、新人だけの夜勤を作らない、委員会や研修の日程、そして本人たちの希望。これらすべてを同時に満たす表を、多くの職場ではいまだにExcelと目視で作っています。

しかも条件どうしは衝突します。希望を全部通せば人数が足りない日ができ、人数を優先すれば誰かの希望が犠牲になる。シフト作成が難しいのは、正解が存在しない問題を、毎月ひとりで解かされているからです。

もうひとつの重さは、工程が長いことです。希望を集めて、転記して、下書きを作って、チェックして、直して、配る。どこか一箇所を速くしても全体はあまり楽になりません。だからこの記事では、工程をひとつずつ分けて見ていきます。

全体の流れ——6つのステップに分ける

職場によって呼び方は違っても、シフト作成の工程はだいたい次の6つに分解できます。

  • STEP1 希望を集める ——締切までに全員分をそろえる
  • STEP2 ルールを言葉にする ——「うちの組み方」を条件として書き出す
  • STEP3 下書きを作る ——白紙を埋める。いちばん心理的負担が重い工程
  • STEP4 検算する ——禁止パターンや人数割れがないか確かめる
  • STEP5 公平性を確かめる ——夜勤や連勤が特定の人に偏っていないか
  • STEP6 配る ——印刷・掲示・スマホでの共有

自分が毎月どのステップに何時間使っているかを、ざっくりでいいので思い浮かべてみてください。時間を食っている工程と、神経をすり減らしている工程は、たいてい別です。前者は仕組みで削れます。後者は「数字で確かめられる状態」を作ると軽くなります。

STEP1 希望を集める——転記をなくすだけで数時間戻ってくる

多くの職場では、希望収集が実はいちばんの時間泥棒です。紙の希望表を配って、回収して、出していない人を追いかけて、集まったものをExcelに転記する。考える仕事ではなく、写す仕事に管理者の時間が消えていきます。

LINEグループで集める職場もありますが、個人のアカウントを業務に使う問題と、他の人の目があるところに希望を書かせるプレッシャーの問題がつきまといます。

改善の方向はシンプルで、スタッフが自分で入力し、それがそのまま集計される形にすることです。シフワリの場合は、スタッフにQRコードを配り、読み取った先の画面で希望を入れてもらいます。アプリのインストールも会員登録も要らないので、スマホの操作が得意でない人でも脱落しにくい設計にしています。

あおい

さんのシフト用QR

スマホのカメラで読み取ると、シフトの確認と希望の提出ができます。

画像を保存
スタッフに配るQRカード。読み取るだけで自分の希望入力画面が開きます。

STEP2 職場のルールを言葉にする——頭の中を条件に変える

ベテランの管理者ほど、組み方のルールを頭の中だけで持っています。「日曜の夜勤はこの組み合わせを避ける」「あの二人は続けて夜勤に入れない」「リーダーができる人を必ず一人」。書き出されていないルールは、検算もできないし、引き継ぎもできません。

おすすめは、大事な順に3種類だけ書き出すことです。①破ったら事故になるもの(人数の下限、夜勤明けの日勤禁止、連勤上限)、②質を保つためのもの(リーダー配置、経験の浅い人だけの夜勤を作らない)、③できれば守りたいもの(夜勤回数の偏り、希望の尊重)。この分類は、あとで検算の「赤」と「黄」にそのまま対応します。

ルールを設定として登録しておくと、そのまま次の担当者への引き継ぎ資料になります。属人化の解消は、シフトの質と同じくらい大事な成果です。

STEP3 白紙から埋めない——「叩き台」から始める

月末、白紙の勤務表を前に固まる時間が、シフト作成でいちばん重い時間です。ここで「自動作成」という言葉に期待したくなりますが、正直に書くと、どんなツールでも現場の機微まで含めた完成品は作れません。委員会、研修、口頭で聞いた事情——表の外にある情報が多すぎるからです。

現実的な解は、人が直す前提の叩き台を自動で作り、そこから調整することです。ゼロから埋めるのと、8割埋まったものを直すのとでは、心理的な負担がまるで違います。シフワリの叩き台も「ボタンひとつで下書きを作り、最終判断は人がする」という割り切りで作っています。全自動を謳うツールを検討するときも、「最後に誰が責任を持って直すのか」は確認しておくことをおすすめします。

STEP4 検算する——目視チェックには限界がある

配ったあとに「夜勤明けに日勤が入っています」と指摘される。あれは注意力の問題ではなく、確率の問題です。30日×20人の表には600マスあり、見るべき条件が10種類あれば、チェックポイントは数千箇所になります。人間の目視は、この量に対して統計的に負けます。

対策は、チェックを人の仕事から機械の仕事に移すことです。セルを埋めた瞬間に、破ってはいけない条件は赤、できれば守りたい条件は黄で表示されれば、「あとでまとめて見直す」という危ない工程そのものがなくなります。

Excelでも条件付き書式やCOUNTIFで一部は再現できます。ただ、条件が増えるほど数式が壊れやすくなり、その数式がまた属人化するのが実情です。

入力した瞬間に違反が赤・注意が黄で表示される勤務表エディタ。

STEP5 公平性を確かめてから配る——感覚に感覚で返さない

「私ばかり夜勤じゃないですか?」と言われたとき、数字で答えられるでしょうか。夜勤回数、稼働日数、最大連勤、希望がどれだけ通ったか。配る前にこの数字を自分で見ておくだけで、公開後の揉めごとはかなり減ります。

ポイントは、偏りをゼロにすることではありません。夜勤専従の人もいれば、家庭の事情で夜勤を減らしている人もいて、偏りには理由があります。大事なのは、偏りに気づいていて、理由を説明できる状態で配ることです。感覚の訴えに感覚で返すと水掛け論になりますが、同じ数字を一緒に見れば会話になります。

メンバーごとの夜勤回数・稼働日・連勤を一覧できる公平性ビュー。

STEP6 配る——「写真に撮って手入力」までが今の運用

完成した勤務表は、多くの職場で印刷して掲示されます。そしてスタッフ全員が、それをスマホで撮影して、自分の予定アプリに手で入力し直しています。全員が毎月やっている二度手間ですが、あまりに当たり前すぎて問題として認識されていません。

確定したシフトがスマホのカレンダーに自動で入る仕組み(カレンダー購読)にすると、この工程は消えます。転記ミスで出勤日を間違える事故も一緒になくなります。紙の掲示をやめる必要はありません。掲示と併用できるのがこの方式の良いところです。

どの工程にも書けない「言いにくい調整」の話

ここまでの6ステップは、いわば教科書に書ける部分です。実際のシフト作成にはもうひとつ、誰にも相談できない調整があります。相性の悪い二人を同じ夜勤にしない。新人は必ず先輩とセットにする。回診がある日は、対応に慣れた人を置く。

この種の配慮は、理由を文書に残すこと自体がはばかられるので、ずっと頭の中だけで管理されてきました。だからこそ引き継げないし、本人が異動すると失われます。理由は書かずに、ルールだけを仕組みに載せるという解き方があります。ここは大手のツール紹介記事にはあまり書かれない部分なので、個別記事で率直に書きました。

ツールを選ぶときの、現場目線のチェックポイント

最後に、シフト作成ツールを検討するときの視点をいくつか。高機能かどうかより、現場の制約に合うかを先に確かめるのがおすすめです。

  • スタッフ側の手間——アプリのインストールや会員登録が必要だと、そこで脱落する人が出ます
  • 個人情報——スタッフの氏名やメールアドレスを預けない設計なら、規程や稟議で止まりにくく、現場の裁量で試せます
  • 検算の中身——人数だけでなく、禁止パターン・スキル配置・公平性まで見てくれるか
  • やめやすさ——無料枠や月単位の契約なら、合わなかったときに撤退できます

シフワリは10人まで無料で、スタッフの氏名もメールアドレスも預からずに始められるようにしています(登録するメールは組織の連絡先1件のみ)。ただ、どのツールにも向き不向きはあります。この記事の6ステップのうち、自分の職場でいちばん苦しい工程を楽にしてくれるかを軸に選んでみてください。

まとめ——シフト作成は「作る」より「確かめる」

シフト作成の負担は、実は「表を埋めること」そのものより、集める・写す・確かめる・説明するという周辺の工程に隠れています。希望収集の転記をなくす。ルールを言葉にする。チェックを機械に任せる。公平性を数字で見る。どれかひとつ変えるだけでも、来月のシフト作成は少し軽くなります。

各工程の具体的なやり方は、このページからリンクした個別の記事に書いています。気になる工程のものから読んでみてください。

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