相性の悪い二人を同じ夜勤にしない——シフト作成で一番「言いにくい」調整の話
2026年9月10日 · シフワリ運営 · 約4分で読めます
シフト作成の解説記事は、人数の揃え方や夜勤の上限といった「表に書ける制約」の話ばかりです。でも、現場で一番神経を使うのは、たぶんそこではありません。「あの二人を同じ夜勤にしない」「新人は必ず先輩と同じ回に入れる」——誰にも相談できないまま、毎月、頭の中だけでやっているあの調整の話をします。
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シフト表には書けない制約がある
人数の下限、夜勤の月上限、連続勤務の上限。こういう制約はルール表に書けますし、堂々と共有できます。
一方で、どの職場にも「表に書けない制約」があります。過去にトラブルがあった二人。指導のスタイルが合わない組み合わせ。ハラスメントの相談を受けていて、当面は距離を置かせたい間柄。
管理者だけが知っていて、口外できず、それでもシフトには確実に反映しなければいけない事情です。
結果として、シフトを組む人は毎月、誰にも見えないところで「引き剥がし」をやることになります。埋まりかけた表を眺めて、あの二人が同じ夜勤に入っていないか、目でなぞって確かめる。この作業は、どのシフト作成マニュアルにも載っていません。
逆のパターンもある——新人は先輩とセットに
引き剥がすのとは逆に、「必ず一緒に入れたい」組み合わせもあります。典型はOJTです。新人が独り立ちするまで、夜勤は必ず指導役(プリセプター)と同じ回に入れる。多くの職場で当たり前にやっている運用です。
ただ、これがパズルの難易度を大きく上げます。新人の希望と指導役の希望を突き合わせ、両方が入れる日を探し、そのうえで人数と夜勤回数の帳尻も合わせる。指導役が急に休みを希望した月は、組み直しの連鎖が起きます。
「離す」と「くっつける」。方向は逆ですが、どちらも「二人の関係をシフトに反映する」という同じ種類の制約です。そして、どちらも管理が属人的になりがちです。
この調整は、ずっと「記憶」でやるしかなかった
なぜ属人的になるのか。書ける場所がないからです。
- Excelのシフト表に「AさんとBさんは組ませない」とは書けない。共有フォルダにあるファイルは、誰が開くかわからない
- 個人の手帳や付箋に書けば漏れはしないが、異動や退職で引き継がれず、後任はまた一から地雷を踏んで覚えることになる
- シフトツールの備考欄に書けば楽になるが、それは「記録」になる。「A・Bは組ませない(理由: 過去にトラブル)」という一文は、書いた瞬間から、退職時の揉め事や開示の場面で読み返される可能性のある文書になる
つまり、書くと危なくて、書かないと忘れる。
この板挟みのせいで、「相性」の調整は結局、担当者の記憶力と注意力で支えられてきました。毎月ゼロから思い出し、たまに見落として、配ったあとで気づくわけです。
「理由を書く欄がない」のは、手抜きではなく設計
シフワリには、この問題のために「個別ルール」という機能があります。できることは2つだけです。
- セット必須——この二人は同じ勤務に入れる(OJT・ペア勤務向け)
- 同勤務NG——この二人は同じ勤務に入れない
そして、理由を書く欄がそもそもありません。これは機能を削ったのではなく、意図的にそうしています。
理由欄があれば、いつか誰かがセンシティブな事情を書き込みます。書き込まれた瞬間、それは職場の人間関係の記録になってしまう。だから最初から書けないようにして、システムに残るのは「この二人にルールがある」という事実だけにしています。
スタッフ側の画面にこのルールが表示されることもありません。画面上で隠しているのではなく、スタッフ用のデータ取得の仕組み自体が個別ルールを返さない作りです。登録されている名前もニックネームだけで、氏名は預かりません。
登録したら、あとは検算が見張ってくれる
個別ルールを登録しておくと、勤務表のセルを埋めたその場で検算が働きます。同勤務NGの二人が同じ夜勤に入れば、該当箇所に色が付いて教えてくれる。セット必須の新人が一人で夜勤に入っていれば、それも見えます。
「今月もあの二人を離さなきゃ」と毎月思い出す必要がなくなり、見落としの不安からも解放されます。
ルールは引き継がれ、理由は残らない
そして管理者が異動しても、ルールは設定として引き継がれます。引き継がれるのはルールだけで、理由は最初から存在しません。後任は事情を知らないまま、同じ配慮を続けられます。
正直な注意点
最後に、この機能を作った側からの注意です。
同勤務NGは、特定の誰かを排除するための道具ではありません。組ませないルールがいくつも必要になっているなら、それはシフトの問題ではなく、職場の問題です。ルールでしのげるのは当面の運用までで、根本は別の場所で対処が要ります。登録は本当に必要な少数に留めることをおすすめします。
また、シフワリはルールを守った叩き台を作り、違反を検算で示すところまでを受け持ちます。最終的にどう組むかを決めるのは、事情を知っている人間です。そこは機械に任せない設計にしています。